TALK
会話 
(オープニング)



海 上

ホームズ
「リュナン?……
 こんなところにいたのか
 どうしたんだ、ぼーっとして?」
リュナン
「ホームズ……」
「いや……
 少し潮風にあたっていただけだ」
ホームズ
「それならいいが
 もうすぐウエルト王国だぜ
 上陸の準備はできているのか」
リュナン
「僕はこのレイピアさえあればいい
 部下たちもオイゲンに任せておけば
 大丈夫だろう」
ホームズ
「ラゼリアの騎士たちも大変だな
 あんな口うるさいじじいに
 よく我慢ができるものだ」
リュナン
「彼らはわかっているんだ
 帝国との戦いでラゼリア騎士団は全滅し
 生き残ったのは若い騎士ばかり」
「オイゲンは僕たちを守るために
 無理に無理を重ねてきた
 その結果、何度も重傷を負って
 今ではもう、剣を握ることさえできない
 その無念さがわかっているから
 みんな必死で頑張っているんだ」
ホームズ
「まあな……
 確かにじじいや俺の親父がいなけりゃ
 俺たちは皆死んでいただろうよ
 年寄り二人に命を救われるとは
 まったく情けない話だよな」
リュナン
「ホームズ
 僕たちは提督に言われるままに
 グラナダ砦を脱出したが
 本当にこれでよかったのか
 提督を犠牲にしてまで生きる価値が
 僕たちにあるのだろうか……」
ホームズ
「そんなことを気にしているのか」
「だったら安心しろ
 ヤツはそう簡単に
 くたばるような男じゃない
 俺が保証してやるぜ」
リュナン
「そうだといいが
 いくらヴァルス提督でも
 あの状況下では……」
ホームズ
「リュナン
 終わったことをぐちぐちと悔やむなんて
 お前らしくないぜ」
「親父はお前のために
 無理をしたわけじゃない
 自分の信念に従い
 自分の意地を貫き通しただけのことだ」
「いずれ時期がきたらグラナダを取り戻す
 そうなりゃまた
 親父とも再会できるだろうよ」
リュナン
「そうだな……
 ありがとう、ホームズ」
ホームズ
「おいおい、よせよ
 親父の生死はともかくとして
 俺は結構浮かれているんだぜ」
「前にも話したと思うが
 俺の夢は冒険者になって
 世界を旅して回ることなんだ
 親父から解放されて
 ようやくその夢がかなうというわけさ」
リュナン
「冒険の旅か……楽しいだろうな」
ホームズ
「ああ、気の合った仲間たちと
 面白おかしく暮らす
 なあ、リュナン
 お前も一緒に来ないか
 こんなくだらない戦争はもういいだろう」
リュナン
「ホームズ、僕は……」
ホームズ
「ははは、冗談だよ
 それが無理だってことくらい
 俺にだってわかっているさ」
リュナン
「うん……だけど、いつかきっと……」
オイゲン
「リュナン様、お話し中ですが
 ウエルト島が見えてきましたぞ」
ホームズ
「おっ、そうだ
 悠長に話し込んでいる場合じゃないな」
「リュナン
 とりあえずソラの港に上陸しよう
 あそこならウエルト王宮にも近いはずだ」
リュナン
「わかった
 オイゲン、皆に準備を急がせてくれ」
オイゲン
「はっ、かしこまりました!」




ソ ラ の 港

リュナン
「ここが、ソラの港町か……
 大国ウエルトの海の玄関口にしては
 やけに静かなところだな」
オイゲン
「いきなりこんな海賊船が現れては
 怯えるのも当然でしょう」
「ホームズ、お前たちは早々に立ち去れ
 わしらまで海賊と思われては
 かなわんからな」
ホームズ
「ちっ
 あいかわらず口のへらねえジジイだぜ
 言われなくても退散するさ」
リュナン
「やはりイスラ島に渡るつもりなのか?」
ホームズ
「ああ、あの島なら帝国の目も届かないし
 居心地もよさそうだ
 海賊どもを追い出して
 俺たちの本拠地にするつもりだ」
リュナン
「君たちだけで大丈夫なのか?」
ホームズ
「ふっ、心配はいらねえよ
 海賊討伐は俺たちの仕事だ
 奴らはこの海獅子の旗を見ただけで
 逃げ出すだろうよ」
「それよりリュナン、心配なのはお前の方だ
 ラゼリア兵は頼りない奴らばかりだし
 肝心の守り役があのじいさんじゃな……」
「そうだ、信頼できる部下を
 一人つけてやろう
 ……ガロ、降りてこい!」
ガロ
「わかってますよ、若
 船から降りて、リュナン公子の
 お供をしろってんでしょう」
ホームズ
「そうだ、力を貸してやってくれ」
リュナン
「すまないな、ホームズ……
 それにガロも……」
ホームズ
「じゃあな、リュナン
 しばしのお別れだ
 お互いの行く末に
 幸運の潮風の導きがあらんことを!」
リュナン
「ああ!
 ホームズたちも気をつけて!」



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