市長 |
|
「パブロフ様
今月分の税金でございますが
市民も苦しんでおり
思うように集まりません
どうかもう少し
お待ち願えないでしょうか」 |
パブロフ |
|
「何だと!?
貴様、我が帝国をなめておるのか!」
「バルカ王子は今までどおり
セネー市の自治は認めはされたが
リーヴェ王家に納めていた税金は
帝国へ納めよと申されたはずだ!」 |
市長 |
|
「は……
リーヴェに納めていた税金程度なら
何も問題はございません」
「バルカ様も同額でよいと
申されていましたのに……」 |
パブロフ |
|
「貴様……
何が言いたいのだ?」 |
市長 |
|
「いえ……」 |
パブロフ |
|
「わしが
着服してるとでも言いたいのか?」 |
市長 |
|
「いえ、そのような……」 |
パブロフ |
|
「もし余計なことを王子に言ってみろ
市民一人残らず殺してやる
まずはお前の家族からだ!」 |
市長 |
|
「お……お許しください……」 |
パブロフ |
|
「わかったらとっとと帰って
税を集めて来い!」 |
市長 |
|
「はっ……仰せに従います……」 |
カーネル |
|
「パブロフ伯爵
何かとお忙しいようですな」 |
パブロフ |
|
「カーネル卿……来ていたのか?」 |
カーネル |
|
「我が任地のセルバは酷い田舎ゆえ
たまには都会の空気を吸いませんとな」
「いや、パブロフ伯がうらやましい
いろいろと役得もあるようだ」 |
パブロフ |
|
「セネーのことを言っておるのか?」
「フンッ、商人たちは信用ならん
役にも立たぬ傭兵を飼っておいて
金はないとぬかしおる」
「まだまだ隠し持っておるだろう
とことん絞り上げてやるつもりだ」 |
カーネル |
|
「そんなにため込んで
いかがなされるおつもりですかな」 |
パブロフ |
|
「言うまでもなかろう
ガーゼル教団に奉納するのだ
わしも、我が身は可愛いでな……」 |
カーネル |
|
「なるほど、伯爵もガーゼル神の
しもべになるという訳ですな」 |
パブロフ |
|
「そういう貴公こそ聞いておるぞ
近辺の村々から金目のものを
巻き上げておるそうではないか
いやそればかりか、女、子供まで
教団に捧げておるとか……」 |
カーネル |
|
「何のことですかな?
私は知りませぬな……」 |
パブロフ |
|
「とぼけなくともよい
村々を襲っている馬賊どもは
貴公が影で操っておるのであろう」
「カーネル卿、恐れなくともよいぞ
バルカ王子などもはや何の力も持たぬ」
「これからはガーゼル教団の時代だ
何を遠慮することがある」 |
カーネル |
|
「そこまでご存知なら話は早い
実はパブロフ殿に頼みがあって来たのだ」 |
パブロフ |
|
「頼みだと?
何だ、言ってみろ
貴公の頼みとあれば
断るわけにもゆくまい」 |
カーネル |
|
「実は、女を一人預かってほしいのだ」
「反乱軍の女を捕らえたのはいいが
おかげで夜もやすやすと眠れぬ
しばらく預かってほしいのだ」 |
パブロフ |
|
「レオンハートの手のものか……
それは厄介な者を背負い込んだな
なぜ一思いに殺さぬのだ?」 |
カーネル |
|
「バカを言え!
わしはまだ死にたくはないぞ」 |
パブロフ |
|
「ふっ……貴公らしくもない
たかが野ネズミの群れに
何をそんなに恐れておるのだ」 |
カーネル |
|
「貴公は知らぬのだ……
あの男……
レオンハートの恐ろしさを……」 |
パブロフ |
|
「ふんっ、まあよいわ
その女はわしが預かろう」
「たっぷりと痛めつけて
レオンのアジトを聞き出してやる
もし口を割らねば
殺すまでのことだ……」 |