リュナン |
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「ホームズ……」 |
ホームズ |
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「よお、リュナンか
大変なときに来てしまったな
驚いたろう……」 |
リュナン |
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「一体どういうことなんだ
さっきの巨大なドラゴンは
伝説の火竜ネウロンだろう
どうしてこの島にネウロンが?」 |
ホームズ |
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「まあ待ってくれ
お前よりもっと驚いている奴がいる」
「カトリ……大丈夫か」 |
カトリ |
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「ええ……」 |
ホームズ |
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「お前は自分が何をしたのか
わかっているのか?」 |
カトリ |
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「私……怖かった……
ゾンビたちに襲われて逃げ惑ううちに
毒の沼に迷い込んだの
苦しくてもう死んでしまうと思った
意識が薄れかけたとき
私は大きな赤い竜に生まれ変わったの
私は夢中で
襲いかかるゾンビを焼き払った」
「でもホームズ、あれは夢なのでしょう?
助かりたい一心で見た幻なのでしょう?
ねえホームズ
お願いだからそうだと言って!」 |
ホームズ |
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「もうお前にもわかっているんだろ
あれは夢じゃないって」 |
カトリ |
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「でも……でもどうしてなの
どうして私が竜になっちゃうの」 |
ホームズ |
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「それはな、お前の身体の中に
女神ユトナの血が流れているからだ
カトリ、お前は今いくつだ」 |
カトリ |
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「今日で……15歳に……」 |
ホームズ |
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「だろうな……聖典には
聖竜の巫女は15歳たるべしとある
聖竜の巫女としての力は15歳から
2,3年の間しか現れないそうだ」 |
カトリ |
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「聖竜の巫女?……」 |
ホームズ |
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「伝説では
竜に生まれ変わることができる
少女のことをそう呼ぶらしいな」 |
カトリ |
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「そんな……
私は竜になんてなりたくない!」 |
ホームズ |
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「ならその腕輪を外せ
そうすればお前は
普通の娘として暮らせるはずだ」 |
エンテ |
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「いえ、その腕輪を外してはいけません!」
「その腕輪はあなたを守るものなの
もし腕輪が邪悪な者の手に渡れば
あなたはその者に操られて
殺戮を繰り返す
ただの野獣となってしまいます」
「あなたがあなたでいたければ
その腕輪……リングオブサリアは
決して手放してはなりません!」 |
リュナン |
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「エンテ?……
そうして君が、そんなことを……」 |
エンテ |
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「ごめんなさい、リュナン様
いつか必ずお話しします
でも今はまだ……
もう少しだけ……時間を下さい……」 |
ホームズ |
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「ふーん……
そういうことか……」
「おいカトリ
いつまでも泣いているんじゃねぇ
今、聞いたろ」
「つまりだな
お前自身がしっかりしてりゃ
竜には変身しないってことだ
しかしその腕輪は大事にしろよ
ぜったい肌身から離すなよ」 |
カトリ |
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「でもホームズ……
私、怖い……」 |
ホームズ |
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「心配するな
わずか2,3年辛抱すりゃいいんだよ」 |
カトリ |
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「でも……」 |
ホームズ |
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「だから……心配するなって
それまでは俺がお前を守ってやる
必ず守ってやる!
いいなカトリ、俺を信じろ!!」 |
カトリ |
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「ホームズ……」 |
オイゲン |
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「コホン……あー、リュナン様
いろいろとありましょうが
我らは先を急がねばなりませぬ」 |
リュナン |
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「そうだなオイゲン」
「ホームズはまだ、この島に留まるのか?」 |
ホームズ |
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「いや、ぼちぼち飽きたからな……
皆で旅に出ようと言ってたところだ
準備ができしだい
俺たちも大陸に渡ろうと思っている」 |
リュナン |
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「前に言っていた遺跡発掘の旅か?」 |
ホームズ |
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「ああ、世界を巡って冒険をする
財宝や古代のアイテムや失われた伝説
それらを手にすることが俺の夢だ」
「だがお前のことは忘れはしない
戦いに役立つような品物があれば
可能な限り届けてやろう」 |
リュナン |
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「ありがとうホームズ
君には世話になってばかりだな」 |
ホームズ |
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「俺はな、お前のような男が
王になるべきだと思っている」
「リュナン、忘れるな
俺の力が欲しいときは
いつでも言ってくれ」
「俺たちはいつも
助け合っていることを忘れるなよ」 |
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シゲン |
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「ジュリア、ここにいたのか……」 |
ジュリア |
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「シゲン兄さん……」 |
シゲン |
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「しかし、お前まで
島を出ていたとは知らなかったな
おやじがよく承知したものだ」 |
ジュリア |
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「反対はされたわよ
兄さんたちがグラナダ防衛の手助けに
出陣したときだって私は島に残された」
「だけどもう子供じゃないんだし
私もイルの剣士として腕を試したかったの」 |
シゲン |
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「で、リュナン公子の傭兵か
まさか俺たちの後を
追ってきたのじゃあるまいな」 |
ジュリア |
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「ち、違うわよ!
公子と会ったのは偶然よ
私を罠にはめた奴がラゼリアにいるから
そいつに借りを返したくて
公子軍に合流しただけよ!」 |
シゲン |
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「じゃ、どうしてこんなところにいるんだ?」 |
ジュリア |
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「そ、そんなこと……
私に聞かないでよ!」 |
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ガロ |
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「公子、すまねぇが
俺は若についてゆくぜ
長い間世話になったな……」 |