TALK
会話 
(MAP08-09)



ネ ー 海 西

メルヘン
「よし、マルス港のアジトへ
 引き上げるぜ!」




ス ラ 島

ホームズ
「リュナン
 いよいよ行くか」
リュナン
「ああ……
 一日も早くラゼリアに戻りたいんだ」
ホームズ
「俺たちはこの辺りの悪党を片付けてから
 大陸に渡ろうと思ってる」
「お前がウエルトの兵力を
 連れて出たことで
 トーラス山賊やイスラ海賊が
 ウエルトの街を襲うかもしれないだろ」
リュナン
「ホームズは僕のために……」
ホームズ
「いや、そうじゃねえよ
 奴らのお宝を頂きたいだけさ」
「おっと、そうだ
 大事な話を忘れるところだった
 リュナン、よく聞いてくれ」
「これからのお前の戦いは
 厳しいものになるだろう
 もし弱すぎて役に立たない兵士がいたら
 俺に預けていかないか」
「俺たちの戦いなら相手も選べるし
 好きなだけ何度でも戦う事ができる
 新米の兵士にはいい戦闘経験に
 なると思うんだ」
「それにさっきも言ったが
 俺はお前の為に、役に立つ武器や道具を
 集めようと思ってる」
「だけど今は戦争中だし
 今度いつ会えるかもわからねえ
 俺たちが再会できないと、武器や
 アイテムを受け渡す事もできないんだ」
「まずはこのイスラ島だが
 次に再会できるのは
 かなり先の事になるだろう」
「いいなリュナン
 機会は一度しかないから、よく考えて
 部隊を「編成」するんだぞ」
部隊編成(1回目)




ス ラ 島

シゲン
「ホームズ
 うるわしき友情ドラマだったな
 俺は涙が出たぜ」
ホームズ
「ふん、なんとでも言え
 俺とリュナンは兄弟みたいなものだ
 他人のお前にはわかるまい」
シゲン
「まあ、いいさ
 俺には関係のない話だ
 それよりホームズ
 これからどこへ行くつもりだ?」
ホームズ
「そう焦るなって
 リュナンが大陸に渡った事で
 ウエルト周辺の悪党どもが
 動き出すかも知れねえ」
「特にあの海賊……
 うーん……
 名前が思い出せねぇ……」
シゲン
「メルヘンだろ
 まったくふざけた野郎だったな」
ホームズ
「ああ、ヤツだけは許せねえ
 アジトを見つけ出して
 たっぷりと礼をしてやる
 大陸に渡るのはそれからだ
 ウエルトを守ってやらないと
 リュナンのヤツも心配だろうしな……」
シゲン
「ふっ……」




ネ ー 海 西

リュナン
「オイゲン、マール港へは
 無事に上陸できるだろうか」
オイゲン
「マール王国はバルトの敗戦以降
 イストリア王国の占領下にあります
 ギュネス国王はバルト戦の最中に
 帝国へ寝返った卑劣な男
 我らを快く迎えるとは考えられませぬ」
「とは言うものの、帝国との戦いを前にして
 兵力の消耗は避けたいところ……
 ここは少し様子を見て、リチャード軍の
 到着を待っては如何でしょう」
リュナン
「マールのリチャード王子か……
 先王が亡くなられた後は西部辺境に
 逃れて再起を期していたと聞いたが……」
オイゲン
「はい、ティーエ王女を擁してからは
 連戦連勝の勢いで、その軍勢はすでに
 マール王宮の西にまで迫っておるとのこと」
リュナン
「ティーエ王女?」
オイゲン
「滅亡したレダ王国のただ一人の末裔だとか
 美しく聡明な少女だともっぱらの噂です
 永らくイストリアに囚われていましたが
 家臣によって救出され
 その後リチャード軍と共に
 レダ同盟軍を率いております」
リュナン
「聖王国レダ……女神の戒めを破ったために
 滅び去った王国か……」
オイゲン
「我がリーヴェと同じく
 神君カーリュオンの血を受け継ぐ
 4王国の一つでありましたが
 聖竜クラニオンを復活させ
 戦争に用いたことが国の滅亡を招きました」
「リュナン様もまたカーリュオンの血を
 受け継ぐ、聖王家の一人
 心せねばなりますまい」
リュナン
「そうだな
 先の戦争では我が王家の水竜ミュースが
 街一つを焼き払い数千人の人命を奪った」
「4聖竜は本来、人々を邪心から守るために
 女神ユトナが生み出したものだという
 それを戦争の為に目覚めさせるなんて
 絶対にあってはならないことだ」
オイゲン
「そういえばあのカトリとかいう
 娘には驚きましたな
 火竜ネウロンを生み出す
 聖竜の巫女だったとは……
 あの娘が悪しき者に奪われれば
 大変なことになりますぞ」
リュナン
「心配するなオイゲン
 あの娘はホームズが守ってくれる
 火竜ネウロンは
 もう二度と現れはしまい」
オイゲン
「ならばよろしいのですが……」
リュナン
「いずれにしても、イストリアが
 帝国と同盟していることは事実だ」
「レダ同盟軍が
 マール王国の解放を目指しているなら
 我々もその手助けをすべきだろう」
「マールへ上陸しよう
 様子見は僕の性にあわない」
オイゲン
「はっ……
 では、このまま西へ進みましょう
 マール港へは、三日程度で
 到着できると思います」




ー ル 王 宮

アルベルト
「リチャード王子
 ロレンス将軍が
 左翼城壁を突破いたしました」
リチャード
「なに!……
 ロレンスがやってくれたか!
 よし、控えの諸侯らに攻撃命令を出せ
 先陣は俺が引き受ける!」
アルベルト
「はっ!」
リチャード
「ティーエ、お前はここで待て
 城下を制圧した後に迎えをよこす」
ティーエ
「リチャード、何を言っているの?
 私も行きます、当然でしょう……」
リチャード
「マール王国は俺の祖国だ
 まずは主人である俺が帰ってから
 お前を客人として迎えたい」
「女のお前にはわからぬだろうが
 ここは俺の顔を立てさせてくれ」
ティーエ
「……」
リチャード
「よし、アルベルト
 攻撃力点を左翼に移せ
 一気に城下へなだれ込むのだ!」
アルベルト
「はっ、承知いたしました!」

部下
「ロナルド殿下!
 城壁が突破されました!
 リチャード軍は城下になだれ込んでおり
 もはや防ぐ手立てはありません!」
ロナルド
「やむをえんな
 ここは撤退するしかあるまい……」
部下
「しかしロナルド様
 帝国はどうして
 援軍をよこさないのでありますか?
 セネー海岸まで来ておりながら
 兵を動かそうとはいたしません」
ロナルド
「遠征軍を預かるバルカ王子に
 その気がないからだ
 奴は火中のクリを拾うほどバカではない」
部下
「はぁ?……」
ロナルド
「ふっ……
 バカなのはギュネス国王ただ一人よ
 その器でもあるまいに
 あらぬ野望を抱き、主家を滅ぼした
 その報いは受けねばなるまい」
部下
「ロナルド様、それは……」
ロナルド
「父上に聞かれれば処刑は免れないか?
 だがそんなことは
 ティーエの逃亡を助けたときから
 わかっていたことだ」
「あれは不思議な娘だ
 リチャードは利用しているつもりだろうが
 しょせんは手の上で踊らされているだけ
 最後には俺と同じ運命をたどるのさ……」




ー ル の 港

メリエル
「おばさん
 街が騒がしいわ
 どうしたのかしら」
おばさん
「リチャード王子の解放軍が来たって話だよ
 街の者はみんな大喜びさ
 男たちは自分たちも戦うって騒いでるけど
 まあ無理だね
 足手まといになるのがオチさ」
メリエル
「ふーん……
 私も手伝おうかな……」
おばさん
「何言ってんのさ
 アンタみたいなお嬢ちゃんが
 戦えるわけないだろ」
メリエル
「おばさん、私はこれでも
 大賢者マイオスの孫なのよ
 魔法なら少しは自信があるの」
おばさん
「じゃ、お嬢ちゃんさ
 アンタに人が殺せるのかい?
 それとも殺したことがあるのかい?」
メリエル
「それは……ないけど……」
おばさん
「だったらやめときな
 戦争は男たちにやらせときゃいいのさ」
「あいつらはバカだから
 戦うのが好きなんだ……」
「周りの迷惑も考えないで
 戦争ばかりしてさ
 アタシのロクデナシ亭主や
 バカ息子も死んじまった」
メリエル
「おばさん……」
おばさん
「お嬢ちゃんは
 兄さんを探す旅の途中なんだろ」
「だったら、戦いが終わるまで
 ここで大人しくしてな」
「アタシもさぁ
 どうせなら息子じゃなくて
 アンタみたいな娘を
 生んどきゃよかったね
 そしたら、こんな寂しい思いを
 しなくてもすんだのにね……」
メリエル
「おばさん……
 わたし……ごめんなさい……」
おばさん
「ああ、ごめんよ
 暗い話をしちまったね」
「さあ、何かおいしいものでも作るから
 一緒に食べようね」




ー ル 王 宮

アルベルト
「リチャード様
 敵は雪崩を打って敗走しております!
 もはや勝利は間違いありません」
リチャード
「深追いはするなよ
 今のわれらにイストリアまで追いかける
 余裕はないからな」
アルベルト
「セネーに駐留する帝国軍が
 攻めて来るとお考えなのですか?」
リチャード
「そうだ
 東からの攻撃に備えねばならん」
 まずは城の守りを固め
 その後、ラゼリア軍との連携を図る」
アルベルト
「ラゼリア軍と申しますと?……」
リチャード
「どういう経緯かは知らぬが
 ラゼリアの小僧がウエルトで兵をあげた
 帝国から祖国を解放するなどと
 馬鹿げたことを言っているそうだが
 これを利用せぬ手はないだろう……」




ー ル 王 宮

リチャード
「マール港にリュナン公子率いる
 ラゼリア・ウエルト連合軍が
 上陸したそうだ」
「たかが17歳の小僧だが
 会わぬ訳にもいかぬだろう
 やれやれ、面倒なことだな」
ティーエ
「リチャード王子、それは言葉が
 過ぎるのではありませんか
 その若さで人々を救うために
 戦っているのです
 私は立派な方だと思います」
リチャード
「ふっ……
 奴の目的など知れたものではない
 ティーエのように
 物事をよい方ばかりに見ていたら
 後で裏切られて泣くことになるぞ」
ティーエ
「私はそれでもかまわない
 人を信じることができないのは
 人間として、最も不幸なことだと思います」
リチャード
「ははは、ティーエは可愛いな
 だからこそ俺が
 好きでいられるというわけだ」
ティーエ
「!……」
リチャード
「フッ、そう怒るな
 使いを向かわせたから
 もうすぐここに来るだろう
 会えばどんなヤツかはわかる」
「まあ、所詮は父親の名声を騙る若造だ
 英雄とは名ばかりの
 ただの飾り物にすぎぬだろうよ」




ー ル の 港

メリエル
「おばさん、ごめんなさい……
 わたし、やっぱり行きます!」
おばさん
「いいよ、もう止めはしないさ
 でも一つだけ覚えておいて」
「アタシの亭主と息子は
 イストリアの侵略から
 女や子供たちを守るために戦った
 アタシはね
 バカな男たちだと言ったけど
 それでもやっぱり、誇りに思うのさ」
「アタシの亭主、アタシの息子……
 アタシを守るために戦うと言ってくれた
 お嬢ちゃん、忘れないで
 大切なものを守るために戦うの
 それだけは忘れないでね」

メリエル
「メーヴェ様!?……
 メーヴェ様でしょう!」
エンテ
「メリエル!?
 どうしてあなたが……
 レネ様の教会ではなかったの?」
メリエル
「ええ……
 リシュエル兄様を探したくて
 教会を抜け出してきました
 帝国の監視も少しは
 緩くなったかと思って……」
エンテ
「内緒で出てきたの?……
 レネ様はきっと心配してるわ」
メリエル
「レネ姉様には手紙をおいてきました
 すぐに帰るから心配いらないって」
エンテ
「メリエル……
 あのね……」
メリエル
「もう決めたの
 お小言なら聞きたくありません!」
エンテ
「ふぅ……
 でも、どうしてマール港に?」
メリエル
「陸路は帝国に封鎖されているから
 船しかないと思って……」
「でもリーヴェ行きの船はなくて
 今日まで宿屋のおばさんに
 お世話になっていたの」
エンテ
「それで……メリエルは
 魔道士として戦うつもりなの?……」
メリエル
「私はガーゼルが憎いの……
 おじい様を奪われ、その上
 大好きなお兄様までも……」
「メーヴェ様、あたし……
 もう……逃げるのは嫌!
 お兄様を探しだして
 私もガーゼルと戦います!」
エンテ
「メリエル……」

エンテ
「リュナン様、お願いがあるのですが……」
リュナン
「なんだいエンテ
 君が頼み事をするなんて珍しいな」
エンテ
「あの……この子をしばらく
 預かりたいのです
 私が責任を持って見ますから
 置いてやっていただけませんか?」
リュナン
「君は……魔道士なのか?」
メリエル
「ええ、始めまして、リュナン様
 わたし、メリエルといいます」
リュナン
「エンテ
 よければ理由を聞かせてもらえないか?」
エンテ
「はい……彼女はリーヴェ神殿の大神官
 マイオス様の孫娘なのですが……」
オイゲン
「な、なんと!?
 水の神官家の娘だと言われるのか!」
メリエル
「はい!
 二年前、神殿がガーゼル軍に襲われた事は
 ご存知でしょうか?」
オイゲン
「その事件ならよく存じております
 神聖なる水の神殿が賊に襲われ
 大神官を始めとして多くの方々が
 亡くなられた……」
「私などは、神官家の方全員が
 亡くなられたものと思っておりましたが」
メリエル
「いえ……私は兄さまに助けられて
 脱出することができました」
「ブラードの街の教会に
 従兄弟のお姉さまがいらっしゃって
 一年間身を寄せていました」
「でも兄からは何の知らせも無くて
 もう心配で心配で……」
リュナン
「それで兄さんを探しに
 一人で出てきたわけか……
 オイゲン……」
オイゲン
「わかっておりまする
 兄弟を思う気持ちは誰しも同じ
 よいではありませぬか」
「水の神官家の一族とあらば
 たとえ歳若くとも有能な魔道士に
 違いありませぬ
 力を貸してくださるというなら
 喜んでお受けいたしましょう」
リュナン
「いいだろう……だけどメリエル
 僕の指示には従って欲しい
 君を前線に立たせるつもりはないから
 エンテ、それでいいだろ」
エンテ
「はい、無理を言ってごめんなさい
 よろしくお願いいたします」
メリエル
「ありがとう、リュナン様、エンテ様
 それに、おじさまも!」

アルベルト
「ラゼリアのリュナン様ですね
 私はリチャード王子の部下
 アルベルトと申します」
「我が主君が公子にぜひお会いしたいと
 申しております
 ご足労ですがマール王宮まで
 おいで願えぬでしょうか」
リュナン
「ええ、喜んでお伺いいたしましょう
 リチャード王子
 それにレダ同盟のティーエ王女には
 ぜひ一度
 お目にかかりたいと思っておりました」




ー ル 王 宮

リュナン
「ティーエ王女
 リチャード王子
 ラゼリア公国のリュナンと申します」
「この度は王宮にお招きいただき
 ありがとうございます」
リチャード
「リュナン公子、非常時のことゆえ
 そのような形どおりの挨拶は
 抜きにしようではないか」
「俺はな、バルトの敗戦から
 毎日のように戦ってきたのだ
 それも常に部下の先陣に立ち
 剣と槍を振るってきた
 貴公子然としている小僧を見ると
 反吐が出るほどむかつくのだよ」
リュナン
「それは私のことを
 言われているのでしょうか
 リチャード王子」
リチャード
「ほほう……
 ヘラヘラと作り笑いをするか
 それとも側近に泣きつくかと思ったが
 なかなかの余裕だな、リュナン公子」
オイゲン
「リチャード王子!
 我が主君を愚弄するのも
 ほどほどにされよ
 老いたりと言えどもこのオイゲン……」
リュナン
「オイゲン!
 お前は黙っていろ!!」
「リチャード王子
 何を試しているのです?
 マールの獅子王子とも呼ばれるあなたが
 一体何を恐れているのです?」
「あなたの敵であるイストリアは
 帝国と同盟している
 マール王宮が奪われたとなれば
 帝国も兵を進めることでしょう
 マール王国は北と東から攻撃を受け
 守ることさえ容易ではありません
 我らウエルト・ラゼリア連合は
 バルトへの侵攻にあたり
 その重要な中継点である
 マールの安全が必要です
 お分かりですか、リチャード王子
 我らは同盟する以外に道はないのです」
リチャード
「……
 リュナン公子
 あなたの言われるとおりだ」
「イストリアとの戦いを残す我らに
 帝国へ振り向ける兵力は残されていない
 つまり、貴軍との同盟は
 我らこそ望むところなのだが
 私は過去にバルトで裏切られ
 マールでも裏切られた
 そのために多数の部下たちを失い
 己の甘さを悔いてきたのだ」
「ゆえに貴公が
 信頼に値する人物かどうかを
 試さずにはおれなかった
 失礼は詫びる
 どうか許していただきたい」
リュナン
「いえ、単に甘言を弄する
 人物よりは信頼できます
 あなたも私も
 ぎりぎりの戦力で戦っている
 同盟者の動向一つで勝敗が決まる以上
 慎重であるのは当然でしょう」
リチャード
「いやいや、噂には聞いていたが
 さすがはグラムド大公のご子息
 その若さで大したものだ」
「リュナン殿
 我が同盟軍の盟主であられる
 ティーエ殿下にも
 ぜひお会いいただきたい」
リュナン
「ええ、そのつもりで参りました」
リチャード
「リュナン殿
 ティーエ殿下は
 偉大なる聖王国レダの正当なる後継者
 つまり、我ら
 西部諸国の王族、貴族にとっては
 遥かな昔より主筋にあたる
 高貴な姫君です
 どうか失礼の無いように
 お願いいたしますぞ」
リュナン
「……承知いたしました」
リチャード
「ティーエ殿下
 ラゼリア公爵家のリュナン殿です」
ティーエ
「リュナン様
 トレンテ公爵の娘、ティーエと申します」
「我が軍との同盟を
 受けてくださったそうですね
 わたくしも心より感謝いたします」
リュナン
「ティーエ王女
 君はイストリアを征服したのち
 どうするつもりだ?
 レダ王国の再興を考えているのか?」
リチャード
「リュナン殿、無礼だぞ
 口を慎め!」
ティーエ
「いえ……よいのです」
「リュナン様
 私はイストリアの滅亡や
 レダ王家の再興を
 望んでいるわけではありません」
「ただ一つだけ
 どうしても成し遂げたいことがあり
 そのために人々の力を
 結集したいのです
 イストリアとの戦いも
 その過程の一つでしかありません」
リュナン
「王女が成し遂げたいこととはなんだ?
 よければ聞かせてくれないか」
ティーエ
「ガーゼル教国を滅ぼし
 教皇グエンカオスを倒すこと
 それが私に課せられた運命です……」
リュナン
「君がグエンを倒す?……」
ティーエ
「そうしなければ、私は
 生涯怯え続けて暮らさねばなりません
 私は逃げるより
 挑む道を選びたいのです」
リチャード
「リュナン公子
 王女はお疲れのようだ
 もうそこらでいいだろう」
リュナン
「ティーエ王女
 グエンは僕にとっても憎い敵だ
 君とも無関係とは思えない
 僕にできる事はないだろうか」
ティーエ
「ありがとう……
 たぶん私たちはもう一度
 お会いすることになりましょう」
「リュナン様、どうかお元気で
 あなたの御武運を祈っております……」




ネ ー 海 岸

バルカ
「ケイモス将軍
 変わりはないか?」
ケイモス
「こ、これはバルカ王子!?
 このような最前線までおいでとは
 恐れ入ります!」
バルカ
「当然だろう
 私は皇帝より
 この方面の指揮を委ねられている
 将兵だけに苦労をさせて
 我らが遊んでいるわけにもゆくまい
 そんなことより、現状を報告せよ」
ケイモス
「はっ
 本街道、海岸道とも、警備は万全です」
バルカ
「情報では
 リュナン公子がウエルト軍を率いて
 リーヴェを目指しているという
 彼らはすでにマール港への
 上陸を果たしたそうだ」
ケイモス
「その話は聞いております
 ですがその実態は
 敗残兵や民兵からなる
 寄せ集めの軍隊とか
 我が帝国将兵の敵ではありますまい」
バルカ
「卿はグラナダでの戦いを知っているのか?
 その寄せ集めの軍隊のために
 我が軍はどれほどの犠牲を
 払ったと思うのだ」
ケイモス
「お言葉ですが
 グラナダ攻略に手間取ったのは
 ヴァルス提督の働きによるもの
 たかが17歳の若者に
 いかほどのことができましょう」
バルカ
「リュナン公子を侮るな
 彼の父親は我が兄と共に
 魔竜クラニオンを討ち果たした
 稀代の英雄」
「また母親は
 神君カーリュオンの血を受け継ぐ
 リーヴェ王家の女性である」
「久しく王家に有能な人物を
 得なかったリーヴェの民は
 リュナン公子を
 「ラゼリアの英雄」と呼び
 彼こそが祖国の解放を
 成し遂げてくれるものと信じている」
「その若者が
 ウエルト王国数千の軍隊を率いて
 リーヴェ解放の為に戻ってくるのだ
 容易ならざる事態だということが
 卿にはわからぬのか」
ケイモス
「は……確かに
 仰せのとおりでございます
 申し訳ございません」
バルカ
「謝らぬとも良い
 ただ、細心の注意を払って
 この最前線を警備せよ」
「目下、後方のセネー基地に
 軍団を終結中であるが
 今しばらく準備が必要だ」
「それまでは
 貴下の兵力で持ちこたえてくれ
 数時間後にはわずかだが
 援軍も送れるはずだ」
ケイモス
「はっ
 この一命に変えましても、必ず!」
バルカ
「その心意気はよいが
 持ちこたえるのが無理となれば
 セネー基地に撤退せよ」
「卿も、卿の兵士たちも
 我がカナン王国にとって
 貴重な民草である
 けっして無駄死にはならぬ
 わかったか!」
ケイモス
「はっ!
 仰せの通りにいたします!」



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