エンテ |
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「老師様!!……
……どうしてこんな……」 |
エーゼンバッハ |
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「エンテか……
よく……もどったの……」 |
エンテ |
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「……老師様……
ごめんなさい……
わたしの為に……」 |
エーゼンバッハ |
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「よい……
わしはもう長く生きた」
「エンテ……
惑わされてはならぬ……
勇気をもって……生きるのじゃ……」 |
エンテ |
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「はい……もう……
もう二度と負けたりいたしません
老師様にいただいたこの命……
きっと大切にいたします」 |
エーゼンバッハ |
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「ほぉ……光が見えるの……
そうか……
やっと見つけたか……」 |
エンテ |
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「老師様?……
ああっ……老師様!!」 |
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マルジュ |
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「老師が亡くなられた!?
まさか、そんな……」 |
シルフィーゼ |
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「マルジュ、よくお聞きなさい
おじい様はあなたに
この魔道書を残されました」 |
マルジュ |
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「これは「奇跡の風」!?
でも、こんな高位の魔道書
僕には無理です」 |
シルフィーゼ |
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「マルジュ
あなたは風の大魔道士と呼ばれた
エーゼンバッハの孫なのですよ」
「そのあなたが風の魔道書を
使えないでどうするのです」 |
マルジュ |
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「でも、僕はまだ……」 |
シルフィーゼ |
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「魔道書にはおじい様自ら
あなたが使えるようにと
封印をとかれました」
「おじい様がなぜそこまでされたか
マルジュ、あなたにはわかりますか?」 |
マルジュ |
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「エンテを守るため……ですか?」 |
シルフィーゼ |
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「ええ、そうです
これからはあなたが、マーテルとともに
エンテ様を見守るのです」
「おじい様の遺志を継げるのは
もうあなたしかいないのだから……」 |
マルジュ |
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「母上、理由を聞かせてください
僕はエンテのことを何一つ知りません
彼女はなぜ狙われるのです?
訳も知らされずに守れといわれても
僕にはどうしていいのかわかりません」 |
シルフィーゼ |
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「何の罪も無い少女が
邪神教団の恐怖に怯えているの
今は何も聞かずに
彼女の側にいてあげなさい」
「そうすれば、いずれあなたにも
真実が見えてくるはずです」 |
マルジュ |
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「真実が……」
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マルジュ |
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「エンテ、ここにいたのか」 |
エンテ |
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「マルジュ……」 |
マルジュ |
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「まだ自分を責めているのか?
老師が亡くなったのは君のせいじゃない
何度言ったらわかるんだ」 |
エンテ |
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「……
マルジュは老師様を襲った男が
何者か知っているの?」 |
マルジュ |
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「教皇グエンカオスだろう……
40年程前に突然現れて
邪神教団とガーゼル教国を作り上げた
恐ろしい魔道士だと聞いている」 |
エンテ |
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「ええ、恐ろしい男です
彼のために、すでに3人もの
大賢者が亡くなられた
マルジュが無事でいてくれて
本当によかったと思っているの」 |
マルジュ |
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「……僕は逃げた事を悔いている
かなわないまでも
正々堂々と戦うべきだった
大勢の仲間が命を失ったのに
僕だけが生き残るなんて……」 |
エンテ |
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「マルジュ、何を言っているの!
あなたがかなう相手じゃないわ
そんなことになれば、シルフィーゼ様が
どんなに悲しまれるか……」 |
マルジュ |
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「僕はもう子供じゃない!」 |
エンテ |
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「えっ?……」 |
マルジュ |
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「エンテはリュナン公子とともに
大陸に渡るつもりなんだろ?」 |
エンテ |
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「ええ、これ以上
ここには留まれないから……」 |
マルジュ |
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「僕も解放軍に参加する
でもエンテのためじゃない
こんな僕でも必要だと
言ってくれる人がいるからだ」 |
エンテ |
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「マルジュ!?」 |
マルジュ |
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「僕は君が何者かさえ知らない
神殿に来てもう一年にもなるけど
エンテは一度だって
心を開いてくれたことがなかった」 |
エンテ |
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「ううん、そんなことない
私はマルジュを……」 |
マルジュ |
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「弟のように思っているんだろ
母上から聞いたよ、エンテは僕の事を
可愛い弟のように思っているって」 |
エンテ |
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「ええ……
私はマルジュが好きだから……
でもあなたが不愉快に思うのなら
謝ります……ごめんなさい……」 |
マルジュ |
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「エンテはいつだってそうだ!
もういい
エンテはリュナン公子を頼ればいい
僕は自分のためにグエンを倒す
君には関係ないことだ!」 |
エンテ |
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「マルジュ……」 |