マーロン |
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「港を越えれば
コッダの領地、グラムに入ります」
「要衝・グラム砦は
うっそうたる森に覆われた
攻めにくい場所です
戦いは厳しいものとなりましょう」
「せめて、マルス神殿の大神官
エーゼンバッハ老師のご助力が
得られればよかったのですが……」 |
リュナン |
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「マルス神殿?……」 |
マーロン |
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「リュナン殿はご存知ありませぬか
グラムよりさらに西方に
ウエルト建国以前に築かれた
風と水を司る神を奉じる
神殿がありましてな」
「かつて、四大賢者の一人に数えられた
エーゼンバッハ老師は
深く曇りのない叡智と
天変地異を起こすほどの力を
お持ちだと言われています
そして老師は永きに渡り
このリーベリア大陸に
大きな災いが起こらぬよう
見守っておられるそうです」
「それ故、さすがにコッダも
この神殿にだけは兵を送ろうと
していないようですな」 |
リュナン |
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「……エーゼンバッハ老師……」 |
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アーキス |
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「クライス、公子は?」 |
クライス |
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「マーロン伯と軍議のようだな」 |
アーキス |
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「ふーん
王宮に攻めあがる算段か
ご苦労なことだな」 |
クライス |
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「どうした
なにか不満なのか?」 |
アーキス |
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「あたりまえだろ
祖国は占領されたままだというのに
こんなところで時間を無駄にしていて
いいのかよ!」 |
クライス |
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「しかたあるまい
今の俺たちの力じゃ帝国と戦えないからな
ウエルトの兵力を得る為には
内乱を収めるしかないだろう」 |
アーキス |
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「よく冷静でいられるな
リィナのことは心配じゃないのか」 |
クライス |
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「アイツはしっかりものだ
心配していないと言えば嘘になるが
俺はリィナを信じている」 |
アーキス |
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「若い娘が一人で
どうして身を守れるってんだ?
カナンの奴らは野蛮だ
安全なはずはないだろう!」 |
クライス |
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「……」 |
アーキス |
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「俺は後悔している
リィナは残りたいと言ったけど
無理やりにでも連れてくるべきだった
お前が反対さえしなければ
俺はそうするつもりでいたんだ!」 |
クライス |
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「一般の市民は放っておいて
自分の家族だけを助けるのか
ラゼリアの騎士に
そんな我が侭が許されるのか」
「あいつは俺の妹だ
一日だって思わぬ日はない
だがな、アーキス
俺たちはラゼリアの騎士なんだ
今はリュナン公子を信じて
ついて行くしかないだろう……」 |
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ジュリア |
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「あら、ガロ
こんなところでどうしたの?」 |
ガロ |
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「……」 |
ジュリア |
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「潮風が気持ちいいわね
少し話をしてもいいかしら?」 |