リュナン |
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「君は傭兵か?
村に雇われたのか」 |
ジュリア |
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「確かに傭兵だけど
貧しい人からお金はもらわない
世話になったから、お手伝いをしてるだけ」 |
リュナン |
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「そうか……
君のおかげで村も助かったようだな
僕からも礼を言う」 |
ジュリア |
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「あなたはヴェルジェの騎士なの
今ごろやってくるなんて、のんきなものね」 |
リュナン |
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「……」 |
ジュリア |
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「村の人たちを守るのは
あなたたちの仕事でしょう」
「税だけを取っておいて
こんなときに役に立たないなら
騎士なんていないほうがましだわ!」 |
リュナン |
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「すまない、確かに君の言うとおりだ
村の人たちには迷惑をかけてしまった」 |
ジュリア |
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「ふーん……
あなたって以外にいい人みたいね」
「貴族なんてみんな
傲慢なヤツばかりだと思っていたけど
あなたは違うみたい
かなり高い身分みたいだけど何者?」 |
リュナン |
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「僕はラゼリア公国のリュナンだ」 |
ジュリア |
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「えっ!?……じゃ
グラナダで帝国と戦い続けたという
リュナン公子ってあなたのことなの?
ふーん……まだ生きていたのね……」 |
リュナン |
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「ああ、おかげさまでね」 |
ジュリア |
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「あらっ、怒ったの?
公子様に失礼だったかしら
ごめんなさい」 |
リュナン |
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「いいさ
君は相当な腕のようだけど
戦いは慣れているのか?」 |
ジュリア |
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「傭兵になってまだ半年にもならないわ
実戦は今日で3回目
でもね、剣は少し自信があるの」
「小さいときから父親に
みっちりと鍛えられたから
私の父はね……って、こんな話を
している場合じゃないわね」
「そうね、リュナン公子なら不足はないわ
あなたに雇われてあげる」 |
リュナン |
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「それは助かるけど、どうして?」 |
ジュリア |
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「ラゼリアに戻るのでしょう
私もラゼリアに用があるの
でも今はそれ以上言いたくないわ」 |
リュナン |
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「わかった
じゃあ傭兵として働いてくれ」 |
ジュリア |
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「ええ
食べさせてもらえるのなら
報酬はいらないわ
よろしくね、リュナン様」 |